今の時代の生き方

昔の人はこう思っていたそうです。「日常の家事や単純労働を機械がやってくれれば、余った時間をもっと好きな事に使えるのに。」そして21世紀になり、家事や単純労働は機械がやってくれるようになりました。水や薪を用意する必要はなくなりました。馬車を使う必要もありません。

では余った時間で我々はもっと好きな事ができるようになったのでしょうか。私はそうは思いません。人類は相変わらず朝から夜まで働き続けています。むしろ働く時間が長くなったようにも感じます。

私たちはなぜ生きているのでしょうか。生きるために仕事をしているのでしょうか。仕事のために生きているのでしょうか。生き方は一人ひとり違うものです。誰も答えを知りません。私も自分の生き方がこれでいいのかどうか試行錯誤しています。こんな私でいいと思いますか? (^^;;; 私も生きている以上、生き方について色々と考えさせられます。せっかくなのでブログに書く事にしました。

今回は心理学の面から生き方について書きました。最初の方は「いわゆる」心理学です。次に「組織心理学」の話をします。後半では組織の話と権力の話です。抽象的なものから具体的なものになっています。

人間の欲求

アブラハム・マズローは人間の欲求を5段階に整理しました。

  1. 生理的欲求
    衣食住が欲しいと思うこと
  2. 安全欲求
    安全・安心でありたいと思うこと
  3. 社会的欲求
    友達や家族が欲しいと思うこと
  4. 承認欲求
    自分や他人から認められたいと思うこと
  5. 自己実現欲求
    自分の夢や希望を実現させたいと思うこと

これらの欲求は必ず1から順番に発生するそうです。移行期というのもあるようです。詳しくは検索してみてください。あなたはどの段階にいますか?どの段階にいようとも、それがいいか悪いかという問題ではないと思います。

仕事と自己実現

あなたは自分の仕事に対してどのような感情を持っているのか、考えた事はありますか?組織で働く人は、国だろうと、大企業であろうと中小企業であろうと、楽しく働いている人はいないようです。少なくとも私の周りには1人もいません。

もしあなたが学生であれば、親を見てみてください。楽しく働いていますか?もし「楽しく働いている」と言っても、本当かどうか、高校生くらいにもなると、なんとなくわかりますよね。聞きづらいかもしれません。(^^;

なぜ仕事をするのでしょうか。学生であれば、なぜ勉強をする (しない?嫌い?) なのでしょうか。なぜ文系(理系)を選んだのでしょうか。

人はいつの間にか学校に通っています。そしていつの間にか組織と関わります。その線路を敷くのは大抵の場合「親」です。親が組織勤めをしている場合、子も組織勤めをする事が多いようです。親が組織を経営している場合、子も組織を経営する事が多いようです。

いずれにせよ、人はいつの間にか職業に就き、いつの間にか人生の大半を過ごしています。世界には職業に就いていない人もいます。もしあなたがニート(学生でも労働者でも職業訓練中でもないこと)であっても読むのを止めないで欲しいです。世界は日々変わっています。「ウォール街を占拠せよ」という活動を生み出すようなシステムが持続可能だと思いますか?私は資本主義の時代は終わると思います。でも今日話す事は資本主義後の時代にも有用だと思うのです。

ほとんどの人は何かをしたくて生まれてくると私は思います。そして生きている間、ほとんどの時間を仕事に割り当てるのです。それにも関わらず仕事に不満がある場合は、仕事、あなたが何をしたいか、どのような状況にいたいのか、といった事柄がうまくマッチしていない可能性があります。

仕事とは何でしょうか。私は単なるお金を得るための手段だとは思っていません。仕事とは本当の自分を知るためのツールであり、自己を実現するための手段なのです。アメリカの心理学者であるエドガー・シャインの研究によると、人が仕事に対して欲求する根本理由は以下の8つに分類されるそうです。この分類はキャリア・アンカーと呼ばれています。

  • 専門・職能別コンピタンス
    自分の得意とする専門分野で能力を生かしたいタイプ。仕事の内容が重要。
  • 全般管理コンピタンス
    組織を仕切りたいタイプ。組織の目標を達成するために問題を見つけたり、他人へ働きかけたりしたい人。
  • 自律・独立
    自分のやり方やペースを重要視するタイプ。規則に縛られたくない人。
  • 保障・安定
    終身雇用権の代償として、進んで組織の指示に従うタイプ。頻繁に転勤を命じられることがあっても、それを前向きに受け止められる人。
  • 起業家的創造性
    自分で事業やサービスを初めたいタイプ。とにかく試してみたいという熱い思いに取りつかれている人。事業を築き上げたという実績が重要。
  • 奉仕・社会貢献
    世の中をもっとよくしたいという欲求に基づいて仕事をしているタイプ。教師や医者といった職業でもこのタイプとは限らないので見極めが必要。(専門・職能、自律・独立、保障・安定であることがある)
  • 純粋な挑戦
    問題や障害、他人に対して挑戦することが好きなタイプ。挑戦することそのものが重要。
  • 生活様式
    生き方全般のバランスと調和を重要視するタイプ。組織が個人および家族を尊重してくれることを望む人。

大事なのは、仕事や組織に欲求する事は人それぞれだという事です。自分が欲求する事は必ずしも周りの人と同じではないのです。居心地がいい人はそのままでいいのですが、居心地が悪いな、と思っている人は、この分類が示す方向性を参考にして次の居場所を探すといいかもしれません。

参考までに私の診断結果です。

Check-result-ja「自律・独立」と「起業家的創造性」が高得点です。「全般管理コンピタンス」と「純粋な挑戦」は低いようです。思い当たる節ばかりです。(^^;;;;;

自分がどのタイプか確認したい人は質問シートを使ってください。 キャリアアンカー質問票 Excel (マクロなし) / キャリアアンカー質問票 PDF

もっと詳細を知りたいと思う人は、「キャリア・アンカー」(エドガー H.シャイン【著】 金井壽宏【訳】 自桃書房) という本を読んでみてください。自分にはどのような価値観があるのか、自分はいったいなにが得意か、自分が本当にやりたいことは何なのか、何をやっている自分に意味や価値が感じられるのか、といった事を考えることが出来ます。

組織での働き方

エドガー・シャインのキャリア・アンカーは1990年にアメリカで出版されました。しかし前提とする社会については一切触れられていません。景気に影響されるのかどうか、資本主義を前提にしているのか、社会主義にも通じるのか、1990年だけでなく2015年でも使えるのか。これらの事が書かれていないのです。キャリア・アンカーは真実だと私は思います。その一方で時代は変わりました。今は組織そのものが簡単になくなる時代なのです。

「職場&働き方未来予測2014」 (日経ビジネス)は4つの働き方が存在すると言っています。

  1. 組織を生き抜く
    自ら仕事量を増やしてスピード処理する。パワーゲームの巧者になる。グローバル人材になる。最後は神頼み。
  2. 組織にしがみつく
    目指す姿は「かわいげのあるイイ人」。中身のない雑談ができる人。多くを犠牲にしてでも、安定した給料と雇用を死寺したいとい党悟のある人。組織にしがみつく場合、パワハラの標的になる可能性も出てくる。
  3. 組織の外に出る
    その道のプロになる。実は日本で20年働いているだけで、私たちはさまざまな「売れるスキル」を身につけている。
  4. 組織をあきらめる
    一生を捧げられるほど好きなものがある。ビジネスとは無関係なところにも人生の充実はあります。豊かな生活を手に入れるために、降りるといつ選択をする。

それぞれの働き方につき参考図書が6冊あげられていました。その中でも私の読んだ事のあるものは以下の通りです。

働き方 書籍
組織を生き抜く 人を動かすデール・カーネギー
組織にしがみつく 「原因と結果の法則」 ジェームズ・アレン
組織の外に出る 「ワーク・シフト」 リンダ・グラットン
「はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E・ガーバー
「MAKERS」 クリス・アンダーソン
組織をあきらめる 「自分でわが家を作る本」 氏家誠悟

全ての働き方について少なくとも1冊読んだ事がありました。「組織の外に出る」関連の本が多いですね。

日本特有の役職

組織を生き抜ける人は必ずいます。では課長のポストがない場合、組織はどうするのでしょうか。その人のために課長のポストを作るのです。

実際に作られるのは課ではなく課長のポストです。ポスト名は「担当課長」と言います。担当課長の意味がわからなかったのですが、検索すると多くの人が同じ質問をしているようです。意味は「部下がいなくて1人で担当する場合に付けられる職名」だそうです。だから担当なのですね。課長という役職を担当している「名ばかり課長」なのかと思っていました。(^^;

いつ頃からある制度なのかはわかりません。そして一般的な制度なのかもわかりません。日本だけなのかもわかりません。少なくとも私は人生で一度も「担当課長」と書かれた名刺を見た事がありません。

組織と権力

組織と権力は切り離せません。組織を生き抜いてきた上司や役員には権力があります。自分の都合のいいように他人をコントロールできるのです。そうしなければ自分の権力がなくなるのです。

注意しなければならないのは、権力には代償があるという事です。私は権力を持つ事がいいか悪いかと言っている訳ではありません。ジェフェリー・フェファーの「権力を握る人の法則」によると、権力には以下の代償があるそうです。

  • 一挙手一投足を監視される
  • 時間の自由を失う
  • 多大な時間とエネルギーをとられる
  • 人を信じられなくなる
  • 権力は中毒になる

私は権力を握った事がないので本当かどうかはわかりません。すべてが当てはまらないので、権力を握った事がないとは言えそうです。(笑)

まとめ

生き方は一人ひとり違うものです。生き方に不満やストレスがあるのも無理はありません。その理由は選択しない事を選択し、妥協しているからです。選択肢があるという事を知らないのです。

仕事には適性があります。また組織で働く事にも適性があります。もしそれらが自分に合っていない場合、「何か変だな」と思う時がきっときます。仕事や組織がいいか悪いかという話ではありません。自分がそれらに合っていないのです。それを変えられるのは自分だけなのです。

「何か変だな」という気持ちをまずは受け止めてください。その後はどうすればいいのでしょうか。答えなんてないのですが、私の思う事はもっとあります。「この問題に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」フェルマーはこう言えたのですが、我々には言えません。インターネットには余白という概念がありませんからね・・・時代は変わったのです。(^^;;

もし本記事に興味、ご関心があれば、ぜひ「思った事」を見てください。例えばこんな記事があります。

  • OpenSSLのHeartbleed問題で考える情報リテラシーと真実
    OpenSSLに致命的なセキュリティー脆弱性「Heartbleed」が発見されました。メディアの記事が正確性に欠け、いかにしてデマが広がるのか – 我々の情報リテラシーが問われています。
  • 「まぜるな危険」 – 製品表示は真実の一部分にすぎない
    製造者は自分たちが危険だと思うことを警告する事はあっても、利用者が危険性を判断できるよう、必ずしも考慮しているとは限らないし、むしろ警告すべき事を必ずしも警告しているとも限らない。
  • 無知の知を知ろう
    「8月は暑い?寒い?」と聞かれたらどう思うだろうか。我々は知らないという事を知らない。それが故に思い込み、恐れ、善悪を定義するのだ。

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