ステインと水性ウレタンニスの塗り方
との粉、ステイン、水性ウレタンニスの塗り方です。サンプル画像を多く載せつつ、手順と注意点を整理しました。
このブログに来る人の多くは、「ワトコオイル 塗り方」とか「水性ウレタンニス 塗り方」というキーワードで検索しています。塗り方で困っている人が多い証拠です。私も塗り方についての情報が少なくて困っていました。
私はこれまで手探りで木材の塗り方を勉強してきました。そしてようやく自分が満足できる塗料に行きつきました。それが「オイルフィニッシュ」と「水性ウレタンニス」です。初回は塗料の選択が中心で、前回はワトコオイルの使い方が中心でした。今回は初回で述べた水性ウレタンニスの続きです。
オイルフィニッシュで重要なのは木材の選択でしたが、水性ウレタンニスの塗装で重要なのは手順です。初めから終わりまで気が抜けません。
使った塗料
以下の塗料を使いました。
- 和信ペイント ポアーステイン (ブラック)
- 和信ペイント ポアーステイン (オーク)
- 和信ペイント との粉(黄)
- 和信ペイント との粉(赤)
- 和信ペイント サンディングシーラー
- 和信ペイント 水性ウレタンニス (つや消しクリヤー)
水性ウレタンニスには着色できるものがあるので注意が必要です。着色できるものは「上級者」用なので、私は絶対に使いません。詳しくは「ド素人が木材塗装を始める」を見てください。
塗り方
- 120番の紙やすりで研磨する
- 240番の紙やすりで研磨する
- との粉を塗る
- 20分放置
- 目止め不足があればとの粉を塗り重ねる
- 20分放置
- 表面に残ったとの粉を充分に拭き取る
- ステインを塗る
- 20分放置
- 色が好みになるまでステイン塗装を繰り返す
- サンディングシーラー(2回目以降はニス)を塗る
- 120分放置
- 400番の紙やすりで研磨する(最後は研磨せず完成)
- 少なくとも2回はニス塗装を繰り返す
放置する長さは「最低限」です。放置時間が長いに越したことはありません。では各手順の詳細を説明します。
研磨は塗装の一部
木材塗装の仕上がりを左右するのは研磨です。正しく研磨できていなければ、いくら塗装に手間をかけても塗装の効果は比例しません。
ホームセンターで売られている木材はプレナー仕上げ(機械で切り出されている)なので、120番からはじめて構いません。(やすりの種類については、「ド素人の木材塗装その2 ワトコでオイルフィニッシュ」を見てください)
私は電動サンダーを利用しています。電動サンダーを使うと、研磨の仕上がりに注意を払う事が出来ます。一方、手で研磨する場合は手を動かす事に集中してしまい、研磨に集中できません。なお、電動サンダーを「使わない」場合は、80番、120番、240番、320番のように、荒い番目(80番)や細かい番目(320番)を追加してみてはいかがでしょうか。
2015/3/28追記
最近はあまり電動サンダーを使わないです。やすりホルダーを使ってやすりを挟み、木目に沿って20往復くらいやするだけで大抵の木材は綺麗になります。私のバターンは、120番で20往復、240番で20往復、400番で20往復です。電動サンダーを使うと楕円形の傷がつく事があるのです。この傷は木材を光に反射させたり塗装したりすると目立つようになるようです。例外はウッドデッキです。(灰色に劣化したウッドデッキのメンテナンス)
との粉と導管
との粉とは導管を埋めるための塗料です。導管とは木目の凹んだ部分の事です。導管を埋める事を目止めといいます。
私はとの粉の使い方がよくわかりませんでした。との粉の有無を比較したページを検索したのですが、まったくないので困っていました。結局自分でやってみるしかありませんでした。もしかしたらとの粉の有無は初めて公開される情報かもしれませんね。(^^)
との粉は文字通り「粉」です。塗装するには水と1:1で混ぜて泥にしたうえで塗ります。との粉とステインを1:1で混ぜる事も可能だと説明書に書かれていますが、実際にやってみてムラができやすいように思いました。今回の塗装は全て水と1:1で混ぜたものです。
一度塗っただけでは導管が残ることがあります。その場合はもう一度塗って下さい。
塗った後は布で拭きます。大事なのは木目や導管と同じ方向に拭くことです。粉を払うようにゆっくり丁寧に拭きます。粉を拭いているとさらに粉が出てくるので、私は掃除機も併用しています。
ステインの塗り方
今回は和信ペイントのポアーステイン ブラックとオークを1:1で混ぜました。その理由は「ワトコでオイルフィニッシュ」にも書いたように、黒に近い茶色を目指しているからです。
一般的にステインの塗装には水性ハケを使用しますが、私は台所用スポンジを切って使います。スポンジにも色々ありますが、私が使うのは消しゴムのスポンジです。カッターでスッと切れるので、切片が塗装面にぴったり合います。また目が細かいので塗料をよく含みます。
2015/5/29追記: 水性ハケとスポンジの違いはそれほど大きくないので、スポンジにこだわる必要はありません。
ステイン塗装の感覚は塗るというよりも着色です。よって一度塗ってもそのまま放置しません。30秒ほどしたらウエスで拭き取ります。その際こすらないでください。一方向に拭きながらステインを広げる感じです。
サンディングシーラーとは
サンディングシーラーはニスの下地材です。外見はニスと区別がつきませんが、塗装の広がり方と乾燥後の触感が異なります。サンディングシーラーはニスよりもよく広がります。ニスよりも塗りやすい塗料なのです。またサンディングシーラーが乾燥すると、表面の触感はニスよりもなめらかです。
塗り方はニスと同じです。
水性ウレタンニスの塗り方
ニスの塗り方で最も大切なのは「塗り直さない」という事です。厳密に言うと、ニスの塗り直しは1、2分までです。その間なら重ね塗りしても結果に影響はないので、その間は何度でも塗り直しできます。
1、2分で勝負を決めるために重要なのは「繊細かつ大胆に」塗る事です。そのためには重要なポイントはハケの選択、ハケの動かし方、ニスの広げ方です。
ニスの塗装にはニス専用ハケを使います。ニス専用のハケを使えば、ニスを広げるように塗ることができます。水性用のハケを使った場合はニスがあまり広がりません。そしてハケの跡が縞模様状に目立ちます。
左側が水性用刷毛、右側がニス専用の刷毛です。
刷毛の動かし方は常に一方向にします。右から左へ塗ると決めたら、上下に塗ってはいけません。また表面張力に注意してください。右から左へ塗る場合、右はじの少し左に刷毛を接触させ、右はじまでハケを動かした後、そのまま刷毛を左はじまで動かします。そうすることで右はじにニスがたまりにくくなります。
ニスの広げ方は文字通り「盲点」です。一度ハケが通過したにも関わらず、ニスが塗られていないということがよくあります。ニスは無色ですから、塗れたかどうかは塗装面の反射で判断するしかないのです。明るい色の上にニスを塗るのであれば、色が濃くなるのでわかりやすいですが、暗い色の上に塗装する場合は色がほとんど変わらないので注意が必要です。もし、「まさか自分に限って」と思う人は、薄暗い場所で塗装面を光に反射させながらニスを塗ってみてください。
ニスの塗り方が難しいのは1、2分でニスが固まり始めるからです。するとハケがスムーズに進まなくなります。その瞬間、すでに塗装面は凸凹になっているでしょう。一度そうなると恐らく修正は無理でしょう。修正するには丁寧にやすりがけする必要があると思いますが、私は納得のいく仕上がりまで修正できたことがありません。「もうはまだなり、まだはもうなり。」株の格言がニス塗りにも当てはまるとは。(^^; これを予防するためにもサンディングシーラーが使われるのです。
表面を整える
ニスが乾いたら400番のやすりで研磨します。研磨というよりも「拭き取る」という言い方が適切です。なでるように1、2回拭いてください。感触がただちになめらかになります。そしてそれ以上続けないでください。続けてしまうと塗装まで削ってしまいます。
作例番号
以下の組み合わせで検証しました。
素材 |
との粉なし |
との粉 (黄色) |
との粉 (赤) |
SPF | 1 | 4 | 7 |
白ラワン | 2 | 5 | 8 |
赤ラワン | 3 | 6 | 9 |
ラワンには白いものと赤い物があるのですが、一般的に区別せずに売られているようなので注意してください。
10番はとの粉 (赤)を特に赤いラワンへ塗った場合です。
7から10へは「水性ウレタンニス (つや消しクリヤー)」ではなく「水性ウレタンニス (つやあり)」を塗ってしまいました。
これらの画像はカラーマッチングされています。簡単に言うと、あなたのモニタがちゃんとカラーマッチングしたモニタであれば、塗装した実物、私のモニタ上での画像の色、あなたのモニタ上での画像の色、これら全てが同じ色で表示されると言う事です。理論的にはですが。
240番の紙やすりで研磨した後
「白ラワン との粉 (黄色)」 写真を取り忘れました。(^^;
作例6による一連処理
作例6 (赤ラワンにとの粉 (黄色)を塗ったもの)に対してとの粉塗装~ニス塗装まで一連処理した写真です。他の作例も大体同じ変化なので、作例6以外は省略しました。
「一度塗っただけでは導管が残る」というのはこういうことです。
2回目ではちゃんと埋まりました。
ニス2回目まで終えた全作例
それほど好きな色合いにはなりませんでした。
汚れているように見えます。ステイン(黒)は白ラワンに向かないのだと思います。ステイン(オーク)だけならいいとも思います。
色はいいのですが、中央部の導管に白い部分があるのが見えますか?ステインが導管に入っていないのです。これを防ぐためにとの粉を塗るのです。
「SPF との粉なし」とほとんど同じです。上下に跡があるのは、やすりがけの力が強かったためです。そして横方向に透明のムラがあるのはニスを刷毛につけすぎたためです。
色は悪くないのですが、1つ上の「白ラワン との粉 (黄色)」と同じ事が言えます。
これがお気に入りです。 (^^)
色はそれほど好みではありません。そしてひっかきキズも作ってしまいました。ブルース・リーならこう言うでしょう。「やすりがけするのではない。拭え! 」(^^;;
中途半端な色だと思います。茶色いような、黒いような。
これもお気に入りです。導管が木材のよさを引き出しています。
No.9よりも濃くなりました。これもお気に入りです。
もし本記事に興味、ご関心があれば、ぜひ「塗装」の記事一覧を見てください。例えばこんな記事があります。
- 木材のよさを引き出す塗装 – 塗料の違い
どの塗料がどの木材に合うのか知りたいと思いました。今回は6つの塗料と5つの木材を組み合わせてみました。いつもより多く塗っております。(^^)/ - ステインと水性ウレタンニスの塗り方
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私は塗料売り場でたまたまワトコのオイルフィニッシュを目にしました。オイルフィニッシュという名前が職人っぽく、職人っぽければ仕上がりもいいだろう、という安易な考えで購入してみました。 - ド素人が木材塗装を始める
Raspberry Piや調光器のケース加工をするうちに、もっと身近な素材、すなわち木材でもケースが作れれば便利だと思うようになりました。また今後は家具を作ってみたいとも思っています。そんな訳でまずは木材塗装について勉強することにしました。
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