ド素人の木材塗装その2 ワトコでオイルフィニッシュ
私は塗料売り場でたまたまワトコのオイルフィニッシュを目にしました。オイルフィニッシュという名前が職人っぽく、職人っぽければ仕上がりもいいだろう、という安易な考えで購入してみました。
前回のブログではニスやステインを扱いましたが、それと並行してオイルフィニッシュにも色々な意味でハマっていました。
塗料のコーナーには色々な塗料が売られています。オイルフィニッシュとは木材塗料の名称の1つです。また、その塗料を使って塗装することを指します。ニスを塗った木材に触れるとひんやりしますが、オイルフィニッシュした塗装面は木の温もりがあります。ワトコオイルは油性ですが、手についても石鹸で2回程洗えば落ちます。
私の木材塗装のゴールはこんな感じです。
これらの棚やテーブルのように塗装したいのです。どちらかと言うとダークな色ですね。結論から言うと、ワトコのオイルフィニッシュとSPFでは無理っぽいです。(^^; しかし、オイルフィニッシュの良さは適切な木材と組み合わせることで素材のよさを引き出すことができることです。
購入したのは最もイメージに近い色に思われた「エボニー」です。
塗り方
ド素人にとってワトコの塗り方はかなり特殊でした。
- 240番の紙やすりで研磨する
- オイルを塗装
- 20分放置
- オイルを拭き取る
- 60分放置
- オイルを塗装
- 400番の耐水ペーパーでウエット研磨する
- オイルを拭き取る
- 1日放置
順に説明します。
研磨
まず表面を研磨します。やすりには色々な種類がありますが、私が売り場でよく目にするのは以下のものです。
種類 | 番目 | 耐久性 | 目詰りしにくさ | 耐水性 | 価格 | |
紙やすり | 40~400 | × | × | × | ◎ | |
布やすり | 40~400 | ◎ | × | × | ○ | |
空砥ぎやすり | 60~400 | ○ | ◎ | × | ○ | |
耐水ペーパー | 60~2000 | ○ | ○ | ◎ | ○ | |
ポリネットシート | 60~1000 | ◎ | ◎ | ◎ | × | |
ラッピングフィルム | 1000~15000 | ? | ? | ? | × |
私は空砥ぎやすりと耐水ペーパーを愛用しています。最初に空砥ぎやすりの120番で研磨し大きな凹凸をなくしました。その後空砥ぎやすりの240番で研磨します。次のレベルへ進むには2をかけた番目を選ぶといいようです。(240番を選んだのは120 x 2 = 240だからです。)
塗装
オイルを塗装します。油性用のハケでまんべんなく塗ります。水性用のハケだと毛が柔らかすぎて塗りづらいです。
20分放置します。
ウエスでオイルを拭き取ります。私は古いシャツを切ったものを使います。
60分放置します。
再びオイルを塗装します。油性用のハケでまんべんなく塗ります。2回目の塗装なので1回目に比べてオイルがよく伸びます。結果的にオイルの使用量は少なくなります。
次はウエット研磨です。ウエット研磨とは液体をつけてやすりがけすることです。オイルがついたまま400番の耐水ペーパーで磨きます。
私はハケ塗りとスプレー塗りしか知りませんでしたし、それしか方法がないと思い込んでいました。勉強していくにつれ色々な方法が存在することがわかり、非常に驚きました。以前にも書きましたが、問題なのは知らない事ではなく、知らない事自体を知らない事なのです。
ウエスでオイルを拭き取ります。
放置
1日放置します。木材によってはオイルが出てきます。SPFは出てこないようですが、ラワンは出てきました。ラワンでオイルが出ると、このようになります。
オイルを拭き取ると、このようになります。
エボニーでハマる
SPFや檜はオイルの吸い込みが均一になりませんでした。最初の作品がこちら。
あまりにもひどくてガッカリしました・・・。ススがついたようです。他にもいくつかの色を購入して試してみましたが、問題は解決しませんでした。
これは「チェリー」と「ダークウォルナット」を1:1で混合して檜に塗った直後です。
節の部分がすでに乾いています。そして2分後です。
全体的にオイルを吸いこみました。節の部分はムラになっています。
「ナチュラル」はムラになりませんでした。欲しかった色ではないものの、オイルはSPFの雰囲気を引き出しており、手触りは赤ん坊の肌のようです。
「ホワイト」はSPFの色をほとんど変えません。手触りは「ナチュラル」と同じです。
参考までに無塗装のSPFです。
素材の良さを生かす
ここに載せられないほど試しましたが、塗装方法がまったくわからないので、メーカーに質問してみました。原因は「素材の良さを生かすから」でした。すなわち、
- 硬い木では均一に浸透するが、柔らかい木では部位によって浸透量が異なる。
- 染料のため、浸透するほど色がつく。(浸透しなければ色がつかない)
という事でした。
前回も紹介した「木材の塗装」にも、近い事が書いてありました。
素地固有の善し悪しが強調されるので色、木理、硬さが優れている高級材に使うと効果がより発揮される。チーク、ローズウッド、ウォルナットのような濃色材をはじめケヤキ、ナラなどの国産の貴重材に適している。この仕上げに用いる油性系塗料は黄変する傾向があり、セン、タモ、シナなどの淡色材や軟材には不向きである。 – 木材塗装研究会 木材の塗装 改訂版 P.68
そこで堅い木でテストすることにしました。参考にしたのは「村山忠親 木材大辞典185種」です。売り場で売られている木材をいくつか試しました。
「エボニー」をウォルナットに塗装しました。
イメージにとても近い仕上がりです。
左から「エボニー」、「エボニー1: マホガニー1」、「マホガニー」をラワンに塗装しました。
ムラがあるものの、ムラの広がりは均一なので気にならないレベルです。
クルミに同じ塗装をしました。
節の部分以外は均一な仕上がりです。
オイルフィニッシュした木面に冷えたコップを置くとシミになるそうです。そういえばアメリカに住んでいた頃、家具の上にコップを置いてはいけないとよく言 われていたものです。日本では気にする事がないのですが、日本では家具にオイルフィニッシュしないのでしょうか。答えはそのうち。 (^^)/
木槌の塗装 (2014/4/8追記)
木槌にも塗装しました。この木槌はレザークラフトに使うものです。レザークラフトについては別途書きます。木槌になるからには堅い木材に違いありません。すなわちムラにはならないはずです。実験的に塗装してみたものの、その予想は的中しました。;)
木目での判断ですが、これはカシだと思います。
塗装が光を反射しています。
ウエット研磨しました。
少し落ち着きました。
1日放置しました。ラワンの時のようにオイルが出ますので、見つけたら拭き取ります。
光の反射がなくなってきました。手に触れても塗料はつきませんが、湿った感じがします。鼻を近づけるとニオイ(ワトコ臭)がします。
10日後
湿った感じもニオイも、いつの間にかなくなりました。
もし本記事に興味、ご関心があれば、ぜひ「塗装」の記事一覧を見てください。例えばこんな記事があります。
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Raspberry Piや調光器のケース加工をするうちに、もっと身近な素材、すなわち木材でもケースが作れれば便利だと思うようになりました。また今後は家具を作ってみたいとも思っています。そんな訳でまずは木材塗装について勉強することにしました。
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