木固めエースの塗り方とサンプル画像
木固めエースという塗料を聞いたことがありますか?DIY愛好家だけでなくプロが文化財の修復にも使う塗料だそうです。私はインターネットで検索していて知りました。
食器の塗装
きっかけは家具や食器の塗装です。私は木材に色々と塗装をしている過程で、インテリアや雑貨のお店で売られている木材製品の塗装に興味を持ちました。例えば無印良品で見つけたスプーンの塗装です。
この塗装で私が好きな点は以下の通りです。
- 触感がすべすべしていること
- 反射が抑えられていること
- 丈夫であること
ニス塗装ではどうしてもプラスチックのような感触になってしまいます。一方、ワトコのようなオイルフィニッシュは完成後の感触が好きなのですが、食器には塗れないようです。(厳密に言うと塗ってもいいとは書かれていないのです)
商品のラベルにはウレタン塗装だと書かれています。「ステインと水性ウレタンニスの塗り方」にも書いたように、私はこれまでワシンの水性ウレタンニスを塗った事がありましたが、このスプーンのような反射と触感は得られませんでした。このスプーンにはどのような塗料が塗られているのか、さっぱりわかりませんでした。
ウレタンとか食器といった言葉を使って検索しているうちに、木固めエースという塗料があるということがわかりました。
木固めエース
この塗料は木を丈夫にするのが特徴のようです。寿化工のページには様々なサンプル写真があります。学校給食の食器にも使われているので安全そうです。塗り方が書かれた説明書と耐性試験の合格書もあります。
しかし・・・このページだけでは塗り方がさっぱりわかりませんでした。説明書を読んでみましたが、何だかプロ用みたいに感じてしまいました。「引火性」「有機溶剤」「シンナー」という言葉に怖い感じがしました。また「危険有害性情報」に「長期または反復曝露による臓器の障害」などがあり、「予防」として「保護手袋」「保護眼鏡」、「保護マスク」、「保護面」、「保護衣」を着用する事が挙げられています。読んでいるだけでためらってしまいませんか?(^^;;
その上、インターネットで検索しても塗り方がわかりません。どのページも簡単にしか書かれていないのです。
この塗料は東急ハンズや近くのホームセンターでは販売されていません。しかし見つけてしまいました。新木場の「もくもく」で販売されていました。一度はためらいましたが、やっぱりやってみようと思い立ち、後日購入しました。(^^;;;;;
左は木固めエース(A)です。これは塗料そのものです。右は木固めエース(E)で、Aを薄めるための液体です。
木固めエースはAもEも非常に強い刺激臭がします。簡単に言うと「シンナー臭い」のです。プラモデルの接着剤の臭いです。液体そのものは水のような粘度です。ネバネバしているわけではありません。
準備
木固めエースを塗装するにはちょっとした準備が必要です。以前の私ならちょっと大げさに感じるはずですが、これらは準備した方がいいと思います。
- 手袋
耐油性のものが必要です。この商品には「灯油などの取り扱いに」と書かれていましたのでOKです。 - マスク
風邪用では薄いと思います。写真のような防塵用がおすすめです。これでも臭いはするのですが、あるのとないのでは全然違います。 - ゴーグル
もしゴーグル類を持っていればつけ方がいいです。目に入ったらどうすればいいのか私はわかりません・・・。最近は木固めエースの塗装に慣れてきたのでつけないこともありますが、そういう時が一番危ないのです。
塗り方
- 表面研磨する。
- たっぷり浴びせるように塗装する。
- 2、3分待つ。
- 塗料が吸収されていれば2へ戻る。
- 残っている塗料を拭き取る。
- 15~20時間放置する。
- 水砥ぎする。3回目は水砥ぎせずに完成。
- 1へ戻る。
順番に見ていきましょう。
研磨
ワトコの塗り方やオスモの塗り方にも書いた通り、表面研磨はとても重要です。やすりと番目については「ド素人の木材塗装その2 ワトコでオイルフィニッシュ」を見てください。木固めの表面研磨はオスモの時と同じく400番~1500番のいずれかで行うといいと思います。
塗装 (準備2?)
説明書には「たっぷり浴びせるように」と書かれています。「浴びせる」というとバケツを使って水をまく感じがしますが、普通に塗るだけで大丈夫でした。厳密に言うと、私の場合はスポイトで垂らすのですが。(^^;;;
これらは以前ステインを混ぜた時(ステインと水性ウレタンニスの塗り方)のスポイトです。このスポイトは東急ハンズで売られているものです。テスト用の木材は小さいですし、刷毛で塗ると後処理が大変ですからね。溶けやしないかと心配でしたが、少なくとも1週間は大丈夫でした。その後はAの口が硬化しましたが。
刷毛の処理も東急ハンズで思いつきました。
試験管に入れればいいのです。写真を良く見てください。筆は試験管に入っています。そして試験管を瓶に入れています。
試験管には木固めエース(E)を入れます。入れる量も少なくて済みます。またティッシュを柄と試験管に詰めれば臭いもしません。\(^o^)/
塗装
実際に塗装してみました。
これはナラです。塗装するとこんな感じになります。
塗料が吸収されているかどうか判断に悩みます。ラワンでやると意味がわかりました。1回塗装して10分程するとこうなりました。
写真中央に米粒ほどの大きさで光を反射している部分があります。これは説明書の「ガスや余分の樹脂」だと思われます。それ以外の場所は湿ってはいるものの、塗装によるテカリがありません。よってまだ吸収できるということです。手袋をしたまま指で触ってもベトベしません。
待ち時間
2回目の塗装は2, 3分後です。また、少なくとも1時間は放置しても問題ありませんでした。とはいえ、まめに塗装してください。
この状態でも、まだ塗料を吸い込みます。しかし反射するようになってきました。手袋をしたまま指で触ると、少し抵抗を感じます。浸透しない余分な部分が硬化し始めたようです。
さらに塗装します。
ライトの形が見えます。
吸収しなくなると表面は少しずつ硬化します。塗装後1, 2時間は溶けた飴のような状態になります。手袋をしたまま指で触るとこのように跡がつきます。
ベタベタしすぎてこすることもできません。こうなったら次へ進みます。放置すると跡がついたまま固まります。(^^;
塗りすぎた例
何回か塗装し、20分程待った後です。
20分程待ってもこんな感じなら十分です。むしろこれは塗りすぎです。しかし、この状態でもまだベトベトしているだけなら問題なく拭きとれます。
拭き取り
表面に残った塗料を拭き取ります。ウエスに木固めエース(E)をつけて拭きました。
あれだけベトベトでしたが簡単に拭きとれます。驚きです。
ツルツルになりました。
水砥ぎ
水砥ぎとは水をまいて研磨することです。ウエット研磨ともいいます。
そしてこのようになりました。
反射が少しなめらかになりました。
繰り返し
説明書では、この工程を全部で3~5回やると書かれています。私は木材に応じて回数が変わるのだと思います。ラワンは3回やりましたが、ナラは2回でいいかなと思います。
実験
ここからは2つの実験結果です。ワシンのとの粉(赤)やポアーステインと一緒に使えるかどうか検証しました。との粉(赤)やポアーステインについての記事はこちら。
との粉
との粉は右側だけ塗られています。結果は良くなったと思います。導管(横方向の筋)が強調されて綺麗です。
ポアーステイン
うまくいきませんでした。正面から見ると問題なさそうですが・・・
角度を変えるとすぐにわかります。
拭き取る時に色が落ちてしまうのです。反射していない部分は色が落ちています。(^^;; この理由はポアーステインが顔料だからだと思います。
プリンタのインクの種類には顔料と染料があるので、聞いたことがある方も多いかと思います。簡単に言うと顔料はペンキです。塗ったら色がつきます。そして剥がせます。塗料が膜になるからです。
染料は剥がせません。塗料が木材に染みるからです。染み込んだ部分まで削れば色は元に戻りますが、染み込む深さは木によって違うので現実的ではありません。
私は染料の塗料をたまたま持っていました。
これはレザークラフト用の染料塗料で、ローパスバチックといいます。ポアーステインの代わりに木固めエースを拭き取っても色が落ちませんでした。(^^)
これが全塗装後です。
なお、ローパスバチックの上に木固めエースを塗装すると、とても強い臭いが発生します。きっと何らかの化学反応が起きているのでしょう。安全なのかもわかりません。
もし本記事に興味、ご関心があれば、ぜひ「塗装」を見てください。例えばこんな記事があります。
- オスモカラーの塗り方と塗装サンプル画像
これまで水性ニスとワトコを試しましたが、どうしても手が出せなかった塗料があります。それがオスモです。その理由は・・・高い(と思った)からです。 - ステインと水性ウレタンニスの塗り方
との粉、ステイン、水性ウレタンニスの塗り方です。サンプル画像を多く載せつつ、手順と注意点を整理しました。 - ド素人の木材塗装その2 ワトコでオイルフィニッシュ
私は塗料売り場でたまたまワトコのオイルフィニッシュを目にしました。オイルフィニッシュという名前が職人っぽく、職人っぽければ仕上がりもいいだろう、という安易な考えで購入してみました。
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