「まぜるな危険」 – 製品表示は真実の一部分にすぎない

製造者は自分たちが危険だと思うことを警告する事はあっても、利用者が危険性を判断できるよう、必ずしも考慮しているとは限らないし、むしろ警告すべき事を必ずしも警告しているとも限らない。(写真と本記事は関係ありません)

漂白剤が手にかかった経験はあるだろうか。もしなければやってみて欲しい。ヌルヌルするだろう。そしてすぐに手を洗い流してほしい。そうでなければあなたの手は溶けてしまう。

漂白剤は恐らく世界中に存在する。そして多くの家庭では子供の目が届かない場所に保管されているだろう。あなたは漂白剤が危険だと思うだろうか?思う・思わないに関わらず、漂白剤が安全な理由、そして危険な理由の両方について考えてみてほしい。それぞれに納得のいく理由があるだろう。

本当に危険なのは漂白剤そのものではない。漂白剤の性質を知らないことである。もし子供が漂白剤を初めて手につけてみたなら、漂白剤がヌルヌルする事に少なからず興味を抱くはずだ。大人はヌルヌルの正体が化学反応であることを知っている。だから子供が面白半分で漂白剤を使わないように保護監督するのだ。

漂白剤はもう二、三の事を教えてくれる。これは事例を探していた私にとって、ただラッキーなだけではなかった。例がまた絶妙なのだ。

一つ目は漂白剤のラベルにはヌルヌル化学反応について一切注意書きがないのである。漂白剤に大きな文字で書かれているのは、あの有名なフレーズ「まぜるな危険」である。そして「酸性タイプの製品と一緒に使うと有害な塩素ガスが出て危険」とも書かれている。しかし、皮膚についた時は水で洗い流すように書かれているだけて、その理由については一切書かれていない。皮膚についた時の危険性を判断できるようにはなっていないのだ。

二つ目は「酸性タイプの製品」について説明がない点である。台所で石鹸を使った後の手で漂白剤を使う可能性を考えてみてほしい。実にあり得る話ではないだろうか。実は石鹸は酸性なのだ。だから漂白剤と反応して塩素ガスが出るのである。(そのはずだが検証したことはない) 厄介なのは石鹸や酸性の食器用洗剤には「まぜるな危険」とは書かれていない事だ。なぜだろうか私は知らない。ここまで書いておいてなんだが、私は化学に詳しくない(笑)。

例が絶妙だと言った理由は、これらの事が今後話題にするセキュリティの事例にピッタリ適用できるからである。すなわち、製造者は自分たちが危険だと思うことを警告する事はあっても、利用者が危険性を判断できるよう、必ずしも考慮しているとは限らないし、むしろ警告すべき事を必ずしも警告しているとも限らないという事だ。

以下のことを忘れないでほしい。

  • 本当に危険なのは製品そのものではない。製品の性質を知らないことである。
  • 製造者は利用者が危険性を判断できるよう、必ずしも考慮しているとは限らない。
  • 製造者は警告すべき事を必ずしも警告しているとは限らない。

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